ふじさわアビアン・クリニックも6/15で開院してから6ヶ月になります。
ここまで、なんとかやってこれたのも、お手伝いしてくれた、もと同僚の皆様、 お友達の皆様、協力していただいた患者様のお力があってこそと思っております。来年も鳥類、げっ歯類、うさぎの医療を通して、皆様と動物がより長く、楽しく過ごせるようお手伝いをしたいと思っております。
さて、今日のトピックは若鳥ではなく、大人の鳥、特にメス鳥の発情と栄養にまつわるお話をしたいと思います。
野生下の鳥は、大体条件の良い季節を選んで繁殖しますので、多くて年に1-2回繁殖します(条件が良い年はもう少し多く繁殖することがあります)。ところが、飼育下では、条件の良い室内が殆どですので、持続的に発情してしまうメス鳥は多いです。
持続発情は、慢性的な産卵(オスがいなくてもニワトリと同様産卵します)、産卵にまつわる生殖器系の障害(クロアカ脱、卵管脱、腹壁ヘルニアなど)、卵巣、卵管腫瘍、攻撃性の増加、毛引きなどの問題行動、そして、持続的な高コレステロール血症、高カルシウム血症から、動脈硬化、脂肪肝、カルシウムの臓器へ沈着など、本当に様々な病気を起こします。
メス鳥がオス鳥よりも明らかに寿命が短いのは、これらの病気が関わっているからといっても過言ではないと思います(人は女性の方が寿命が長いので、逆ですね)。
そういったわけで、なるべく発情をさせないようにすることが、メス鳥の飼育の重要な点です(繁殖させない場合)。
メス鳥を発情させない方法、皆さんはどういったことを思いつきますか?
大きく分けて飼い方を工夫する方法とお薬を使う方法があります。
まずは飼い方から。
1、餌のカロリーをおさえる。
2、暗い時間を長くする(長日繁殖の鳥)
3、巣を作らせない
4、発情相手(人間、おもちゃを含む)と一緒にしない
などがあげられます。
お薬は、注射、飲み薬などを用いて、発情ホルモンであるエストロジェンを下げる方法があります。
余談ですが、アメリカは小型鳥よりも大型鳥の方が多く、生殖器系の疾患もありますが、明らかに日本よりは少ないです。埋め込み式の発情抑制剤などを使用すると、半年くらいは発情せずにすみますが、薬剤が大きいため、大型鳥には使用できても、小型鳥にはやや難しい感があります。
前置きがながくなりましたが、、、ここで、今日のトピックである栄養とメスの発情がどう関係するかです。
開院する前に、私はいくつかの病院を見させていただいたことがあります。そこで気づいたことは、ダイエットをしっかり指示している病院ほど、持続発情を示すメスが少ないということです。
飼い鳥は、餌が豊富にあるとカロリー過多になることが多くあります。このカロリー過多な鳥ほど、持続発情が多く見られるということです。もちろん、いくらダイエットをしても、オスが隣のケージにいつもいるような環境ではいけませんので、カロリーの制限のほかの環境も整える必要があります。しかし、食べ過ぎないようにダイエットをするという指示は、アメリカでも発情抑制のために行っており、発情を抑える大きなポイントであるといえると思います。
もちろん、鳥によって、ダイエットの必要がなかったり、病気の恐れがあったりで、ダイエットが出来ないこともありますので、必ず獣医師の指示を受けないと、お勧めは出来ません。無理なダイエットは命に関わることがあります。
また、発情を抑えるために、カロリーを制限するということは問題ありませんが、ビタミン、カルシウムを制限することはお勧めしません。ダイエット中でも、もちろんビタミンは必要ですし、また、カルシウムを制限すると、卵が出来てしまったときに軟卵になってしまう可能性があるからです。カルシウムを制限しても、発情がとまるわけではありません。
ただ、トップに載せているウズラは、カロリーを制限して、痩せてしまっても、なお産卵しようとします。よって、カロリーの制限も、個体、鳥種によっても、有効だったり、そうでなかったりします。ご家庭の子の状況によっても変わりますので、獣医師とよく相談して決めることをお勧めします。